今回から数回に亘って「法定相続人」と並んで現状把握のもう一つの重要な要素である「財産・債務の洗い出し・評価」について順を追って解説していきます。
まず、相続税が課税される財産にはどのようなものがあるのかですが、これについては民法・相続税法ともに明確に規定されておらず、一般的には”被相続人から相続又は遺贈(若しくは死因贈与)によって取得したすべての財産で、金銭的に見積もることができる経済的価値のあるものすべて”と考えられています。
つまり、現金・預貯金や株式、土地・家屋といった有形の目に見えるものは勿論のこと、特許権や著作権、電話加入権といった無形のものでも経済的価値があれば相続税の課税対象財産に含まれます。
より具体的にイメージしていただくために、以下に”相続税申告書第15表(相続財産の種類別価額表)”に列挙されている財産を示します。実際の相続税申告においては、このような財産の種類別に課税価格を評価・計上してその合計額を算出することになります。
(1)土地(土地の上に存する権利を含む)
※「土地の上に存する権利」とは、借地権、地上権、永小作権、耕作権、占用権等を言います。
①田
②畑
③宅地
④山林
⑤その他の土地 ※原野、牧場、池沼、鉱泉地、雑種地があります。
(2)家屋・構築物
※自用家屋や貸家、駐車場の舗装・外壁等が該たります。
(3)事業(農業)用財産
①機械、器具、農耕具、その他の減価償却資産 ※営業権等の無形資産を含みます。
②商品、製品、半製品、原材料、農産物等
③売掛金
④その他の財産 ※受取手形や貸付金の他、特許権、商標権、著作権等の無形資産を含みます。
(4)有価証券
①特定同族会社の株式及び出資
②上記以外の株式及び出資
③公債及び社債
④証券投資信託、貸付信託の受益証券
(5)現金・預貯金等
(6)家庭用財産
※家財、自家用車両・船舶、ゴルフ会員権、書画・骨董・宝石の他、電話加入権等の無形資産を含みます。
(7)その他の財産
①生命保険金等
②退職手当金等
③立木
④その他 ※事業に含まれない貸付金や未収地代・家賃、未収配当金・還付金等があります。
如何でしょう?イメージ出来ましたでしょうか?
個々の財産の詳細や具体的な評価方法については今後追々見ていくことにしますが、個人で事業・農業を営まれていない方であれば、まずは概ねアンダーラインを引いたもので該当するものがあればそれらが相続税の課税対象財産になります。