今回は「相続税が課税されない財産」について簡単に説明しておきます。
相続税が課税される財産は、”被相続人から相続又は遺贈(若しくは死因贈与)によって取得したすべての財産で、金銭的に見積もることができる経済的価値のあるものすべて”ですが、中にはその財産の性格や社会政策的な見地から課税することが好ましくないものもあるため、相続税法及び租税特別措置法において以下の7つを限定的に”非課税財産”としています。
(1)皇室経済法の規定により皇位とともに皇嗣が受けたもの(相続税法12条1項1号)
(2)墓所、霊廟及び祭具並びにこれらに準ずるもの(相続税法12条1項2号)
※”これらに準ずるもの”とは、庭内神し、神たな、神体、神具、仏壇、位はい、仏像、仏具、古墳等で日常礼拝
の用に供しているものを言い、商品、骨とう品又は投資の対象として所有するものは含まれません(相続税法
基本通達12-2)。
(3)宗教、慈善、学術その他公益を目的とする事業の用に供することが確実なもの(相続税法12条1項3号)
※公益を目的とする事業の用に供することが”確実なもの”とは、その財産について相続開始の時において当該
公益を目的とする事業の用に供することに関する具体的計画があり、かつ当該公益を目的とする事業の用に
供される状況にあるものを言い、個人生活の用に供されるものは該当しません(相続税法基本通達12-3)。
※財産を取得した者が取得した日から2年を経過した日において、なお当該財産を当該公益を目的とする事業の
用に供していない場合においては、当該財産の価額は課税価格に算入しなければなりません(相続税法12条
2項)。
(4)条例により地方公共団体が精神又は身体に障害のある者に関して実施する共済制度に基づいて支給される給付金を受ける権利(相続税法12条1項4号)
(5)相続人の取得したみなし相続財産に該当する生命保険金等のうち一定の金額(相続税法12条1項5号)
※”一定の金額”とは、全ての相続人が取得した保険金の合計額が
①非課税限度額(500万円 × 法定相続人の数)以下の場合は、当該相続人が取得した保険金の金額
②非課税限度額を超える場合は、非課税限度額に保険金の合計額のうち各相続人が取得した保険金の占め
る割合を乗じた金額 を言います。
※非課税財産とされるのは”相続人”が取得したものに限られます。
(相続人以外の者が取得したものは非課税限度額の適用がありません)
(6)相続人の取得したみなし相続財産に該当する退職手当金等のうち一定の金額(相続税法12条1項6号)
※”一定の金額”とは、全ての相続人が取得した退職手当金等の合計額が
①非課税限度額(500万円 × 法定相続人の数)以下の場合は、当該相続人が取得した退職手当金等の金額
②非課税限度額を超える場合は、非課税限度額に退職手当金等の合計額のうち各相続人が取得した退職手
当金等の占める割合を乗じた金額 を言います。
※非課税財産とされるのは”相続人”が取得したものに限られます。
(相続人以外の者が取得したものは非課税限度額の適用がありません)
(7)相続又は遺贈により取得した財産を相続税の申告書の提出期限までに国若しくは地方公共団体又は公益社団法人等に贈与をした場合におけるその贈与財産及び特定公益信託の信託財産とするために支出した金銭(租税特別措置法70条)
※相続税申告書の”提出期限”とは、相続開始があったことを知った日(死亡日)の10か月後の応当日(応当日
がない月の場合はその末日)を指します。
一般的な方で通常該当するものとしては(2)及び(5)~(7)が挙げられます。
これらの財産は、例え経済的価値があっても相続税の課税価格には含まれませんので覚えておいて下さい。