先日(6/24)、某日刊紙に「税務相談 AIにお任せ」という標題で、国税庁が前日公表した”税務行政の将来像”に関する記事が掲載されていました。
今や空前のAI(人工知能)ブームで、色んなところで実用化が進められていますからね。
それによると、現在電話や税務署窓口で行っている税務に関する相談を、10年後には納税者がメールやチャット等によって受けられたり、AIを活用して納税者からの相談内容を分析し最適な回答を表示する、あるいは税務調査の必要度が高い企業や個人をAIで判定するといったことを当局は目指しているようです。
こういったことが実現すれば、納税者にとっては時間や場所を気にすることなく気軽に税務相談が受けられますので便利になりますし、不当に課税逃れを行う企業・個人を抑制することに繋がり課税の公平性もより高まりますので、税務に携わる者としてはとても良い目標・取り組みだと思います。
しかし、「果たしてこのAIにどこまでのことが期待できるのだろうか」と少し懐疑的な気持ちを抱いたりもします。
一言で税務相談と言っても、その内容は極めて形式的・手続的な簡易なものから、高度な専門知識や実務経験を要するようなものまで非常に多岐にわたります。
特に、相続税に関して言えば、課税価格算定の基礎となる財産評価の場面でこの専門知識・実務経験が問われることも多く、また生前であれば、例え財産構成や相続関係が同じであっても相談者(被相続人になるであろう方、あるいは推定相続人)にとって最適な回答(遺産分割方法や生前対策)は必ずしも一つとは限りません。
なぜなら、そこには財産を遺す方や遺される方のご家族に対する固有の思いや事情が必ず作用するからです。
どんなに過去の膨大なデータの蓄積があったとしても、そこまでコンピュータに解析・判断させることはやはりまだ当分難しいのではないでしょうか。
私がお客様から相談をお受けする際は、そのようなお客様の思いをできる限り的確に汲み取らせていただいて、もし自分自身がお客様の立場だったらどのような選択をするだろうかということを常に考えてご回答するよう努めています。経営方針である”クライアント・ファースト(顧客第一主義)”の追及・徹底です。
そうでなければ、サービス業である我々のような士業も、本当に業務の大半がIT(情報技術)に取って代わられてしまう日が近い将来来るかもしれませんからね。^^;)