平成30年度税制改正により、今年4月1日以後に提出する相続税の申告書については、従来の
①被相続人の出生から亡くなられるまでの連続した戸籍(除籍)謄本
②被相続人の住民票の除票
③相続人(全員)の戸籍謄抄本
④相続人(全員)の住民票の写し
に代えて、昨年5月からスタートした法務省の「法定相続情報証明制度」によって各法務局が発行する「法定相続情報一覧図の写し」を添付書類として活用できるようになりました。
本制度については、昨年このブログ(”相続手続の簡素化”が5月からスタート)でも触れていますが、当時は各種相続手続における利用可能範囲が明らかになっていませんでしたので、その有効性については多少懐疑的な面もありました。
しかし、今回相続税申告書の添付書類としても利用可能となったことで、相続人の方の公的文書収集に係る負担はかなり軽減されるものと思います。
ただこの「法定相続情報一覧図の写し」を相続税申告書の添付書類として利用するには、一点だけ気を付けなければならない点があり、それは法務局に当該写しの交付を申請する際、相続人(子)の続柄が実子又は養子の別を確認できるように戸籍に記載されている通り(例えば、長男、長女、養子等)に一覧図を作成して提出しなければならないということです。
法務局への申請は、相続人の他に弁護士や司法書士、税理士等の資格者代理人も行うことができますが、法務局のHPに本制度の概要や手続の流れ、法定相続情報一覧図の様式及び記載例が詳しく掲載されていますので、相続人の方ご本人でも簡単に無料で申請することができます。
ですので、今後万が一相続が生じた場合には、まずは上記①~④の書類を1部だけ収集し、取り敢えず管轄する法務局に「法定相続情報一覧図の写し」の交付を申請しておかれると、その後の各種相続手続が比較的簡単かつ効率的に行えますので、是非その点は覚えておかれると良いと思います。
【ご参考】
●「法定相続情報証明制度」について(法務局)
http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page7_000013.html
●相続税の申告書の添付書類の範囲が広がりました(国税庁)
http://www.nta.go.jp/publication/pamph/sozoku/shikata-sozoku2017/pdf/h30kaisei.pdf