新型コロナウイルスが終息する見込みはまったくないまま東京オリンピックが無観客の中で無事終わりましたね。
開催の是非については色んな意見があると思いますが、テレビで観戦していて多くの競技・選手から沢山の感動をもらいました。やはり人が何か一つの事に一生懸命打ち込む姿勢や目標を達成した時の姿にはどんな時であれ心を打たれます。
選手の皆さんも大変な環境下であったと思いますが「本当にお疲れ様でした。そして感動を有難うございました。」と言いたいですね。
さて、前々回の投稿で「最近の相続税の申告&調査状況」を掲載しましたが、その後税務専門誌を出版する会社の課税当局に対する取材で、相続税の調査状況(令和元年事務年度)に関して幾つか新たな事が分かりましたので追加でご紹介します。
まず一つ目は、令和元年1年間の全国の国税局・税務署での事務処理(調査対象候補)件数は約20万件に上るということです。
令和元年分の相続税申告件数は先に示した「申告事績の概要」から約11万件でしたから、残り半分程は平成30年分以前の積み残しであろうと思われます。
二つ目は、このうち実際に調査(実施・机上)対象として選定されたのは約1.1万件(うち、いわゆる税務調査と言われる実地調査は約1万件)であるということ。
逆に言えば、残りの約19万件(全体の約94%)は調査対象に選ばれることなく調査が省略されている、すなわち特に重大な指摘事項はなく申告内容がそのまま受理されているということです。
もちろんこの割合は一律にというわけではなく、相続財産の課税価格(遺産総額)によって大きく異なっています。
例えば、
①相続財産の課税価格が5千万円未満の場合
●調査省略件数は79,285件で該当する事務処理件数全体(79,609件)に対して99.6%
●実地調査件数は165件で同じく全体の0.2%
② 同 5千万円以上~1億円未満の場合
●調査省略件数は71,002件で 該当する事務処理件数全体(73,786件)に対して96.2%
●実地調査件数は1,650件で同じく全体の2.2%
③ 同 1億円以上~3億円未満の場合
●調査省略件数は35,256件で 該当する事務処理件数全体(41,815件)に対して84.3%
●実地調査件数は5,709件で同じく全体の13.6%
④ 同 3億円以上~5億円未満の場合
●調査省略件数は3,573件で 該当する事務処理件数全体(5,272件)に対して67.8%
●実地調査件数は1,607件で同じく全体の30.5%
⑤ 同 5億円以上の場合
●調査省略件数は2,573件で 該当する事務処理件数全体(4,142件)に対して62.1%
●実地調査件数は1,504件で同じく全体の36.3%
といった具合です。
当然ながら相続財産の課税価格が多ければ多いほど調査対象となる割合(確率)は上がります。
それでも、実地調査件数が最も多い1億円以上~3億円未満の層で調査対象になったのは約7件に1件(1/7)、次に多い5千万円以上~1億円未満の層は約45件に1件程度でしかないというのは少し意外な結果でした。
5千万円未満に至っては、殆ど実地調査の対象になることはないと言っても過言ではありません。
一方で、3億円以上となるとやはり約3件に1件(1/3)は実地調査の対象になってしまうということですね。
多少の地域差はあるでしょうが、当事務所でも1億円前後~3億円未満の層のお客様が比較的多いことから、今後申告業務を進めていく上でとても参考になる取材結果でした。